ハドルストンデラックス ハドルトラウト6インチ



カテゴリ スイムベイト

長さ 15cm(6インチ)

重さ 56g以上(2オンスクラス)

販売 ハドルストンデラックス社(アメリカ)



偉大なる8インチと比べたら…


8インチの記事では最上級の評価をしたアタシですが、6インチには相当な辛口で挑みます。


アタシはこのスイムベイトをいわゆる日本的な使い方である「表層スロー」ではほぼ使いません。

アフタースポーン後期や真夏に気が向いたら使うくらいです。

ではなぜ6インチを使わないのか?


スローで巻いた時の姿勢安定性が悪いからに尽きます。


表層スローで使うなら、現在はほぼ手に入りませんがベイトスミスのヒッチが余裕で釣り勝ちます。


ヒッチの姿勢安定性、アクションの質、流れの中での絶妙なフラつき感に対してハドルトラウト6インチは全く太刀打ちできません。


今まで何度も釣り比べましたが、釣果とともに使い心地はどうやってもヒッチには及びませんでした。


加えて、表層付近で使うなら日本製で最も釣れると思ってるスイムベイトであるシグナルのデビルスイマーにも全く敵いません。


数少ないハドルトラウト6インチの利点であるはずの水面直下でのスロー巻きは、一時期を除いて他のルアーや他のスイムベイトの方が釣れると断言します。


その他にも適正であろう巻きスピードとそのスピードでのアクションがベストではないミスマッチがあるなど、8インチと比べたらその設計の甘さがすごく際立つのです。


なのにね…2020年~以降、6インチのトーナメントモデルといわれるフローティング仕様の中古相場がとんでもなく高騰しました。


この相場爆上げの理由は…近年、ハドルのことを言ってる有名な方は少数しかいないハズで、そのお1人のえいきょうでしょう…


アタシは先に書いた理由から「よくこのルアーにその値段出しますね…」と焦ってました。

それくらい、その程度のモノなのです6インチモデルというヤツは。

ではアタシは6インチモデルを駄作として見限ってるのか?


スイムベイトが特に好きでない方はこのモデルを買われる必要はありません。

が、8インチを溺愛するアタシは諦めるハズありませんでした。

あっと驚くチューニングをした使い方で化けたんですが、やっぱりハドルはすごかったんです。


表層スローという常識を捨てた


8インチモデルの凄さに気が付いてから投げまくった数年間。そこで得た時間の中で「スローに巻くだけでは食わないタイミングがある」というのが徐々に解ってきました。


スイムベイトは基本的にスローで巻くことが多いです。

じゃあ速く巻いたら食わないのか?こうした疑問が出てきていました。

ただね~、疑問としては出るんだけど、実際にフィールドで試して結果を出していく過程というのは簡単ではなかったですねぇ。


例えばクランクベイトのブルブルしたアクションでは食ってこない状況でもスイムベイトなら食う可能性があるのでは?という状況で試してみました。

が、いつものように表層スローで巻いてもチェイスだけで「見切られる」…


では、見切られないようにそれなりの速度で巻いたらどうなる?

こういった感じのアプローチで、徐々にミドル~ハイスピードで巻くスイムベイティングを模索していったのです。

そのさなか白羽の矢が立ったのがハドル6インチの、それも日本では全くの不人気モデルである「ROF-12」というファーストシンキングモデルでした。

これなら自重が重いので速く巻けるからです。

がしかし。これをただ単にスルスル巻くだけではどうもアクションがイマイチ。

感覚的に言えば、速く巻いた時のテールにかかる抵抗が大きすぎてビヨーンとテールが後ろに伸びてアクションが破綻するように感じたのです。

画像は8インチですが、速く巻きすぎるとテールが引っ張られる、こんな感じに。


でも諦めないアタシ、ふと思い出したのが学生時代に乗っていた原付での経験でした。


学生時代での原付の体験…原付でトラックの後ろを走ると、あるスポットでは風の抵抗が減ってかなり楽に走れたことがありました(スリップストリーム)。※注 この走り方は道交法に抵触する恐れがあります。当時は安全担保や他車への迷惑もある程度考えた上でやっていましたのであんまり責めないでね。


抵抗を受けすぎてるなら抵抗を減らせばいいじゃん、と。

何をやったか?

テールの裏側をハサミでえぐってやったのです。

こんな感じでえぐります。意外とテキトー。

幅4~5ミリ、長さ25ミリ、深さ1~2ミリがベスト。

深さや長さはそれなりでも大丈夫ですが、えぐる横幅をこれ以上に増やしていくとだんだん泳がなくなってきますので注意。

理屈ではテール裏側にスリップストリームが発生してアクションがおとなしくなる(水噛みを悪くするいわばデチューン)=適正な巻きスピードを速くすることができる、と考えたのです。で、結果は…


大成功。

いや~、勇気いりましたよ。これを試しだしたのが2016年くらいかな?


当時はハドルトラウトの中古相場も底まで下がってたけど、それでもルアーの改造、下手すりゃ泳がなくなってしまう可能性があるのを覚悟でハサミを入れるのは緊張しましたね。


それからというもの、ハドル6インチのテールをどれだけえぐったらベストなのか、何個も試して上記の「ベストえぐり」を探し出し、この速く巻くスイムベイティングの検証は続きました。

そしてその時は突如やってきました。

ヤバかった。一番効いたのは晩秋の水温14℃~12℃までの間。


メインでテストしてた旧吉野川のあるエリアでは、晩秋~初冬の大雨が降った後の透明度低下に乗じて、バスがエサを食いに集結してくるタイミングがあるのです。

それに思いっきりハマりました。


濁りが入った水深1.5~2.5mの「ボトム」を1秒間にハンドル1回転以上のミディアム~ミディアムファーストくらいの速度で巻いてくるメソッド。


バイトの出方が「シーバスか!?」というくらいの激しい「ドッ!!」という反転バイト。

あまりにも威力がすごいんで、他の釣りも試してみましたよ。

試しにハドル8インチを入れてスローに巻いても完全無反応。


再びチューンド6インチに戻すと丸飲み…

バスフィッシングを続けてると、たまに感じる「ルアーが思いっきりハマってる感覚」

この状況下、ハドル6インチの釣りは確実にハマってる感覚でした。


駄作?な6インチモデルが生きる道


アタシがハドル8インチで多用する「ボトムスローロール」を6インチでやろうと思っても、浮力不足と体高の低さからくる根掛かり回避性能の弱さと、水深2.5m以深におけるスロー領域での姿勢安定性能がイマイチなために全く使い物になりません。


が、6インチならではの良さはズバリ「サイズ感からくる食べやすさ」で、単純なバイト数だけでいえば6インチは8インチを確実に凌ぎます。


要因としては、日本のフィールドに生息していてバスが日常的に食べているベイトフィッシュのサイズに合う状況が多いんだと思います。


従来から言われていた「水面」ではなく「スロー」でもない「ボトムをそれなりのスピードで巻いてくる」という使い方。


さらに、ハドルトラウトのテールデザインが最も威力を発揮すると確信している低水温期(水温14℃以下)に特化させたこと。

使い物にならないと決めつけていた6インチは、こうして自分の中でなくてはならないルアーになりました。


なぜスイムジグでないのか?


ですよね。普通こういった使い方をするにはスイムジグが一般的です。


が、アタシが通う旧吉野川水系でのこういったフィーディングスポットには共通項があります。

それが「ウィードの有無」


スイムジグというのは基本的にウィードとの相性が良いのです。

ということはどういうことか?


ウィード絡みの釣りというのは、ウィードがない場所で使うルアーよりも「ハイアピール」なのがバスの反応を得やすいです。


一般的なスイムジグは、ラバーがついたラバージグなどにシャッドテールなどのセットが基本です。

これとチューンドハドル6インチを先に書いた状況で使い比べてみたところ…後者が釣れたのです。まぁ圧倒的に。


その要因はおそらく「アクションの自然さ」にあったのだと感じました。


スイムジグのどの要素がマイナスとなったのか?


これはラバーの有無が大きいと思います。

ラバーがサカナを誘う要素…これはアタシ的には「イライラさせる」と仮定していますが、これはまたいつか書きますね。


あとは動きの「自然さ」。より自然な動きをするのはスイムベイトが有利です。理由は主に重量物(鉛などのウエイト)の分散などですね。自然さを装うには、重量物はある程度分散していなければダメなのです。簡単に書いてますが難しいですよ、解ります?ルアーを理解する上でかなりのキモですよ。


アタシが上記のシチュエーションで釣っていたサカナ、これは純粋にエサ食いに来てたためにラバーの要素は必要なく、より純粋に「エサっぽさ」をイメージさせられるハドルトラウトが効いたのでは?と推測しています。


アタシはスイムベイトが大好きですが、それは盲目的な好きではなく一応自分なりにいろいろ検証してきた結果のことです。


チューンドハドル6が適する条件


  • 水温が低め、約15℃以下でウィードなどのベジテーションカバーがなく、底は砂利や石などの硬め。

  • 濁り、流れなどがあり、バスが小魚を追いかけてフィーディングに入っていて、ボトム付近で口を使っているっぽいこと。

  • ブレイクなどの地形変化があまりなく、どちらかといえばフラット気味な地形。

こういった条件ならチューンドハドル6が他のルアーよりも効くことがあります。

時期でいえば11月~12月の晩秋、3月のプリスポーン序盤がこれに当たります。

フィールド的にはやはり「川」でしょうね。

ダムや池にこういったシチュエーションは多くなさそうなので。


こういった状況で他の巻モノに反応が薄い時はお試しください。


ウィードがない方がいいのか?


はい。ハドルトラウト系全般に言えますが、タイイングアイの位置的にウィードなどの柔らかいカバーにはとことん弱い傾向があります。


その場合は、タイイングアイが鼻先についているようなスイムベイトや、それこそスイムジグが向くことが多いです。


琵琶湖で使い続けられてこなかったのも、この「対ウィード性能」がイマイチだったとの可能性があります。


総評


アタシ的には「表層スロー」という使用条件を捨てることで爆発させることができたスイムベイト。

兄弟である8インチとは全く違うキャラクター、しかしハドルトラウトの系統である「自然さ」を最大限に押し出したアクション。



普通な使い方をするだけなら他のスイムベイトたちに歯が立ちませんが、特殊な条件ならその威力を存分に発揮してくれる「なくてはならないベイト」であることは間違いないです。


中古市場では特にROF-12のファーストシンキングモデルの評価は極めて低いです。

今の日本では流通した総量から逆に手に入れることが困難かも。


そして、この記事の執筆時点である2022年前半は近年に発売された国内メーカーのリッジテール系スイムベイトにつられて価格が上がっていますが、日本におけるリッジテール系スイムベイトの評価はその真意が理解されてこなかったため、またこれからもその真意は理解されずに消えていくでしょうから、ハドルを含むリッジテール系スイムベイトというルアーは、またすぐに姿を消すはずです。

皮肉になりますが、それが日本のバスフィッシングレベルの低さです。

アタシがこういった皮肉を込めた記事を書いているのは、そういった現状が嫌だからです。


というワケで、アタシはノーマルではそのキャラクターを活かしきれませんでしたが、チューニングをすることで自分のものになった「かなり勉強させてもらった」思い出深いスイムベイトです。