あるルアーメーカーとのやり取りで度肝抜かれた話


※注

今回の記事は、メーカーサイドからすればかなり際どいことを書いたものになります。


取り方によってはこれを見た方が「それなら俺も俺も」ってなる可能性がありますが、そういったことにならないよう、純粋にルアーメーカーの姿勢に対して心動かされた記事だということが分かる書き方を努めます。よろしくです。


ニシネルアーワークスというメーカー


ある日、中古屋さんで興味があったルアーがどう見ても新品の状態で売られていました。

そのメーカーのルアーはかなり気になっていた時で、なぜならそのメーカのデザイナーさんが作られたルアーが当時通ってた旧吉野川水系水路で爆発してたからです。

そのルアーがシマノ・トリプルインパクト

そして気になったルアーが「NISHINE LURE WORKS(ニシネルアーワークス)」

2013年~2015年の秋、水温25~20℃までのタイミングはマジで釣れた


そのルアーを軽い財布からどうにかお金をねん出して購入。

その後、はやる心を我慢しながら釣り場に行って、サカナ釣るのも無視してそのルアーを試そうとキャストしました。


そしたらですね、そのルアー思いっきり左にそれて泳ぎました。

「あらあら、困った子だわね」とプライヤを取り出してトゥルーチューン。

「これで大丈夫やろ」と泳がしても思いっきり左に…

まさかこんなハズでは…

その後どれだけアイを調整してもまっすぐ泳いでくれることはなく、そのルアーが少し高めの値段ってのも相まってガッカリ感は相当なものに。


肩を落としながら帰宅してそのメーカーのHPを見てみると、不良品は交換いたしますという旨の文字が(当時のHPね)。


そこでダメもとで「このルアーを送るので直していただけませんか?」と連絡を取ってみたんです。

そのルアーが中古屋さんで新品同様品として買ったこともきちんと書きました。

ぶっちゃけ、見た目綺麗だとはいえ中古で買ったルアーが1個ナナメ泳ぎするだけ。

それにわざわざ対応してくれるなんて流石にあり得ないだろうなぁ。

とそこまで期待もせずにいたら1通のメールが。


そこにはそのような不良品を出してしまったことを謝罪する内容と新しい物を送っていただける旨が思いっきり丁寧に書かれていました。

アタシは聞き返しましたよ。


「どこの誰とも分からない者が中古で買ったって言ってるだけの物なのに、本当に良いのですか?」と。

そしたらですね、さらに驚くべき返信内容が送られてきたんです。


「それはもちろん構いません、ただ、さらにご迷惑をかけて申し訳ないのですがそのルアーを初めに買われた方の連絡先を知ることできませんか?その方にも謝罪をしたいんです」と。


メーカー代表者本人さんがですよ?

もうビビった。

いやいや、クレーム対応の域を超えているだろうと…

ルアーを作る、いや、自分の手で何かを生み出すことに命を懸けているっていう人を初めて見た気がしたんです。


今、たった1個のルアーに対してここまで責任を全うしようとする方って果たしてどのくらい存在するのか?


一発で惚れさせられた、惚れちゃいました。西根さん恐るべし。


ちなみに買った中古屋さんに行き、元の持ち主を探してもらえないか?と交渉しましたが、結果として突き止めることはできませんでした…


その時のルアー「SD(スライドダート)-85F」


いい人だけなら有名になってない


ニシネルアーワークス製のルアーたち。

あまり釣れないルアーばかりならアタシはこの記事を書いてないです。

アタシが惚れちゃったのは人柄だけではなく、釣れるんですよ。マジで…


お気に入りはビーツァーM7とデンプシーテール85S

エリー115シリーズは、2023年秋からアカメ用で愛用するようになっています。


西根さんはルアーを作ることに関して相当なこだわりがあるみたいで、例えば「シャロークランクが流行ってるし、ラインナップにないから作っちゃおうか」みたいなノリでは作ってません。


あくまでもフィールドとサカナありきのスタイル。

本来ならそれがルアーメーカーの当たり前な姿勢ですが、今の時代にそうやってルアー作りされてるメーカーはどれくらいあるのか…


そしてルアーを製造する段階に発生する釣果にとってネガになるようなことに対して、相当な努力をされて良いものを作られているみたいです。

サカナにとってはルアーを作り売る際に発生する人側の都合なんて知ったこっちゃないんですよね。


有限の持ち時間を対価にして手に入れたわずかなお金を使って、限られた時間の中で釣りをしているのに、売る人側だけの都合を優先させた道具を使うなんてアタシはまっぴらごめんです。


まだまだこれでは終わらなかった…


とりあえずこの画像を見ていただきましょうか。

歯形分かります?とんでもなく釣れました…


バス用で2015年くらいから使い始め、秋になると出番になっていたデンプシーテール85S。


相当使い込みました。サカナのバイトの仕方が面白いルアーで、メインで使っていたのは秋の旧吉野川水路系。怒涛の釣れっぷりに本当によく投げました。

で、このルアーはペラが前後についてます。

そしてアタシのヘタクソなキャスト精度では水路の壁などに持って行ってしまいます。

当然ペラ曲がるよね。

ある日、使いすぎて曲がったペラを曲げ直して修正していたのが、金属疲労でとうとう破損。


どうしよう…引退させるか?

でもめちゃ釣れるし、ボディがダメになったワケでもない。


…相談させてもらおうと、またしてもご連絡。

すいません、本当にうっとしいユーザーで。

結果コレ…ここまでしてくれるんか…

もう本当にごめんなさい…

これ以上なんかあっても、もう言いません。

こっちが悪いんです。すいません。


ご自身が世に送りだしたモノにはキッチリと責任を取る。

ここまでできる方、メーカーって他にあるんでしょうか…


2019年でしたかね、新製品だった「エリー95SD」が流通した際、付属のオリジナルスナップが完成品に未装着だったとのことで、西根さんが購入者全員にスナップを送られようとしていたのを知ってる方いらっしゃると思います。


あの時、個人的には「西根さんもうええて!! スナップくらい買うって!!」

ってハラハラしていました。他にも思った人多かったんじゃないかな…

アタシはもちろんスナップの申請はしていません。できませんわ今まで迷惑かけとるから…


その時の記事・エリー95SDについて重要なお知らせとお詫び


合うシチュエーションがありそうなら買っておいた方がいいメーカー


2018年くらいから、春~秋のハイシーズンはバス以外にアカメばっかり狙うことが多くなっちゃったので、ニシネルアーワークスのルアーで一番投げているのはエリー115シリーズがほとんどになっちゃってますが、ニシネルアーワークスは今後も素晴らしい製品を作ってくれると信じてます。


釣れるって聞いたから買ってみた…くらいの気持ちでハードルアーを使って釣れるほど日本のフィールドの多くは豊かではなくなってしまいましたが、それでもこのメーカーのルアーたちは、諦めずに使い込んでいくと応えてくれる。そんなルアーばかりです。


西根さんの作られるルアーの特徴として「状況特化型」なルアーが多いと思っています。


ルアーごとに、開発されたフィールドと効くであろうシチュエーションにきっちりハマるように作り込んでる感じがして、例えば2024年時点でかなり投げてるエリー115なんかは、多数の日本のバスフィールドではその存在感ゆえに持て余すと思います。


アタシは現にそうで、アカメ用として広大な汽水域のフィールドで投げるようになってようやくしっくりくるようになった次第。


アビノーシリーズは旧吉野川水系水路では間違いないと思ってます。デンプシーを凌ぐかアカメが落ち着いたら試してみたい。


かつて西根さんデザインでシマノから発売されたトリプルインパクトも、いつか行くことを夢見てる秋のカリフォルニアデルア用にストックしてます


今回の記事、危ういところを書いています。

アタシがやったようなことをメーカーに依頼するのは迷惑だと思っています。

この記事は、それを見た方が「そこまでしてくれるんだったら俺もなんか言ってみるか」ってなる可能性がありますし、アタシのした行為に関して「厚かましいやっちゃな~」って感じる方もいると思います。


そして、ルアーメーカーとして発生してしまうのがマズい「品質合格品以外が検品をすり抜けて流通してしまった」ことを書かれるのはいい気持ちせんと思います。


これについて、アタシに対する文句は甘んじて受け入れますし、そうした覚悟をしてでも書きたかったんです。

日本のルアーデザイナーさんにすごい人がいるんだと。


アタシの基本的なスタンスとして、特定のルアーメーカーさんを支持するということは書くつもりがありません。

魚を釣ることに対して真摯に対峙してるようなメーカーさん今の日本にあるの?ってひねくれて考えちゃってるし、最終的に文句ばっかりになりそうだから笑。

しかしニシネルアーワークスだけは別にさせて。(タックルハウスも)

サカナをより釣るための性能追求。


製造上の不具合に対する使命。

エンドユーザーへの対応。


「自分が産み出したルアー1個1個に対してきちんと責任を負ってる」

自分の歩いてきた道に一切の妥協もないんだなぁと本当に尊敬します。


普通なら、エンドユーザー相手にたかがルアー1個のことでまともに対応してくれるメーカーなんてないでしょうし、それが「当たり前」でしょう。

いやはや凄い人です、というお話でした。


ちなみにこのお話は西根さんご本人からは、他言無用とも、言っていいですよとも聞いてません。

なので、削除せんとアカンことになる可能性がありますが、そうなるまではここに記しておきたい、と。


これからも素晴らしいルアーたちを世に出して欲しいですね。

今回の記事を作るに当たってご本人の了解も得ていません。

勝手に書いて申し訳ないっす。先に謝っときます。

今後この記事がどうなるかは分かりませんが、もしご本人に見つかった時は出たとこ勝負しまっす笑。