カテゴリ スイムベイト
全長 15cm(6インチ)
重さ 22g前後(3/4オンス)
愛称 デビスイ
販売メーカー シグナル(日本)
まずは見分け方でも書いておきますか
デビルスイマーシリーズは
- デビルスイマーオリジナル
- デビルスイマー7(セブン)
- デビルスイマーデッドスローモデル
とあります。
他にもデビルスイマーシャッドや7.5インチモデルなどありますが、その違いは分かりやすいと思うので割愛。
例えば中古屋さんで買おうとしたけど「どれがどれか分からん!!」って方はこの画像を参照してください。
左:デビルスイマーオリジナル
テール上のマストが大きい
真ん中:デビルスイマーセブン
マストが小さく、テールが大きく裏側にくぼみがある
右:デビルスイマーデッドローモデル
マストが小さく、テールが丸くてくぼみがない
この記事は左のオリジナルモデルを書いた記事になります。
奥田学さん超好きなの…
シグナル代表「奥田学」さん。
本人さんの経歴はそこまで存じてませんが、かつて存在したマニアックなバスフィッシング雑誌「タックルボックス」の中でも凄まじい存在感を放ち、1990年代の琵琶湖では「セントラルガイドサービス」だったっけかな?琵琶湖を舞台に凄腕ガイドとしてご活躍されていたと記憶しています。
アタシが奥田学さんを知ったのは、タックルボックス誌で記事を執筆されていた頃。高校生くらいで、多分90年代後半だと思いますが、その時からヘタなりに「この人多分ヤバいなぁ」と感じていました。
今でも記憶に残ってる記事「ラインにクモの巣がついたらバスが食わん」という一節。
あぁ、こんな細かなところまで気にしながら釣りしてるんだな…と当時は驚愕したものでした。
2000年以降はルアーマガジン誌の企画である、プロアングラーが陸っぱりで釣り勝負をする「陸王」で一気にブレイク。
動画で氏の釣り動作を見たのはこれが初めてでしたが、予想を遥かに超えるその上手さ。
デカいサカナを狙う上での基本的な考えである、如何に食うタイミングに合わせてアプローチできるか?ということを常に念頭に置いたスタイルは、決して一朝一夕では真似のできない凄まじい上手さだな…と感じました。
同企画で奥田さんとのマッチアップとなったとあるプロの方も「釣りウマの究極系でしょ、あの人」と苦笑。
やっぱりプロアングラーから見てもそう映るんだなと。
私感では日本で最もルアーフィッシングのレベルが高い1人が奥田学さんだと思っています。
さて、そんな「神」が作ったスイムベイトは…
なぜそこまで釣れるのか?
外見で一番特徴的なのはテールデザイン。パッケージには「マストテール」と書いてある、シャッドテール(ブーツテール)の上側にマスト(帆)のような突起が出た形。これは何を狙ったものか?
はい、テールのロールアクションを抑えて左右への振り幅を増やすためだと思います。
ただ、この構造はアクションのピッチが遅くなるデメリットがあると思います。なので、思ったよりもアクションの反復スピード(アクションピッチ)は速くないです。
次にテールの付け根。
細すぎず太すぎず。ここの太さは、テールアクションをボディに伝える際に作用すると思います。
付け根の幅が太かったら、タロンのように全身駆動的な動きになります。
デビルスイマーはここのさじ加減がヤバい。ほんの少し大げさ気味だけど決してイヤらしい感じにはなっておらず。
次にタイイングアイの位置と横に突き出た胸鰭を模したフィン。
これもロールアクションを抑えるための機構だと思います。
が、ボディを正面から見た断面はやや三角型。
ダンゴウオみたいでめっちゃ可愛いっすね。
ロールを抑えるためならここは逆三角形が有利だと思います。
塩の量がボディの上と下で違うっぽいので、これはまた違うかもしれませんけどね。
こういった外見的特徴から分かりそうなこと。
デビルスイマーは「コレ」という狙ったアクションを出すような作り方ではないような気がします。
例えば「スイングインパクト」のアクションを模したスイムベイトを作ろう。といった感じのベンチマークが存在したワケでもなく、「ハドルトラウト」のテールを使ったスイムベイトを作るか!!といった感じでもなく。
サカナが本当に興味を示すアクション、とにかく釣れる要素を「スイムベイトの枠組みの中で」手探りで探しながら調整していった末に完成した形ではないかと。
テールの振り幅を増すために採用したマスト形状。
アクションにおけるロール運動を調整するための各種機構。
一撃で吸い込ませるためのアクション軸の設定やサイズ感はボディ全体やウエイトのセッティングで。
さらに細かなところをいえば、テール部分、背中の上、下アゴ~お腹の部分がツヤ消しとなっていて、余計な部分のフラッシングを抑えて確実に丸飲みさせるようにしています。ここまでやるか…
おそらくテスト期間は何年にも渡ったのでは?と思います。
そして誕生した「超ハイバランス」なスイムベイトの性能は…皆さまが積み上げた実績通りです。
ちなみにマストテールを採用した結果、アクションピッチの低下によるバスからの反応が鈍る可能性はどこまでテストしたのか素人としては興味があるところです。
わざわざマスト部分切って泳がせてみたこともあるんです。
こうやって試してみたアクションはね、悪くないのよ。
テールの振り幅は狭くなったけど、ハイピッチ化と手元に伝わる振動が強くなりました。
アクションピッチは一般的にハイピッチ(反復スピードが速い)な方がバスを反応させやすいと思います。
人に人気があるのもハイピッチという言葉。
だけどデビルスイマーはハイピッチを捨てて、釣るためにあのアクションを選んだのだと思います。
ちなみにこのスイムベイトを海で試したらどうなるか?
めちゃくちゃ釣れると思います?
実は汽水~海水になると、このアクションが死ぬんですよね。
なんかちゃんと泳いでくれなくなるのです。
逆に凄いと思いましたね…塩分濃度でここまで動きが変わるルアーも珍しいなと。
それだけ絶妙なセッティングなんでしょうね。
ゆっくり巻かなくてもいいよ
このデビルスイマーが販売されたのは2008年くらいだったかなぁ?
発売当初はなかなか手に入らず、何年かして、アタシが奥田さん好きって知っていた知り合いが買ってくれて手に入ったのが初めです。
まだ陸王が始まってなかった時だったはずで、記念すべきデビルスイマーの使い心地は…
「全然釣れなかった…」
当時の自分的なスイムベイトの使い方は「表層をできるだけゆっくり巻く」というもの。
デビルスイマーはね、表層スローではちゃんと泳いでくれなかったのです…
当時表層スローで使ってたのは、同じシグナル製品であった「クジラ」やハドルトラウト。
それに比べたら全然使いにくかったのです。
しかし、ある時テキトーに巻いてる時に気がついたんです。
「コレ、ルアーが目視できるギリギリのタナをスロー以上のスピードで巻くんだな」と。
そうなんです。このスイムベイトは表層スローではイマイチで、それよりも一段下のレンジ、一段上のスピードで巻くことによりとんでもない威力を発揮するんです。
それに気づいてからは無くてはならない武器に。
バスが泳ぐデビルスイマーに気づいてから食うまでの時間がやたらと短いのも特徴的。
あれも何かの理由があるんでしょう。
使用に適した時期は?
はい、アフタースポーン~晩秋までOK、水温でいえば春16℃から始まって、晩秋の14℃切って12℃くらいまでずっと使いどころがある、長い時期で使えるルアーになります。
使うタイミングは、他のスイムベイトと同じように「スイムベイト以外の巻きモノが効かない時」
クランクベイトやスピナーベイトはアピール過多。チャターでもダメ。
かといってジャークベイトの緩急ある動きでスイッチが入る様子でもない。
トップが効くという感じでもない。
サカナは浮いてるのにイマイチ食わない…そんな「中途半端」な活性の時がスイムベイトの出番。
水の透明度は大雨後のまっ茶色でなければ大丈夫。
スイムベイトはクリアウォーターでないと効かないと聞くことがありますが、クリアウォーターのほうがスイムベイトが効く状況になりやすいってだけなので、別にマッディでも大丈夫。
アメリカではクリアウォーターがいいって言われてるけど、日本とアメリカの透明度に対する尺度って全く違いますからね。
日本で言われてるマッディウォーターとか、アメリカではステインウォーターくらいにしかならんと思いますよ。
アメリカの動画見てたら良く解ります。
日本でスイムベイト使う時のメイン張れます
食わせやすさと使いやすさを備えたサイズ感。
泳ぐタナや適正スピードの設定が「浅すぎず深すぎず、速すぎず遅すぎず」な良い意味で中途半端なため、春~晩秋までずっと使える使用期間の長さ。
人がやることは、巻いてくるコースを決めるだけで、あとは適正レンジを適正スピードで巻けば勝手に食われる驚愕の壊れ性能。
あ、ルアー自体の耐久性も低いですが、そんなことは本当にどうでもよくなる釣れっぷり。ひどい時は1日で5匹くらい壊れます。が、それだけ釣れてるということです。
もし、この性能を維持できたままの耐久性アップならバンザイですが、耐久性向上のために性能がわずかにでもスポイルされるなら…耐久性などは必要ありません。
ヒラスズキやアカメ狙うなら耐久性は重要な点になるんだけどね…
他のスイムベイトを色々試すくらいなら、まずはデビルスイマーのオリジナルモデルを試しましょう。
それでスイムベイトの釣りの基本は習得できますので、それができたら他のスイムベイトを試すのでいいです。
総評
凄まじい釣りの腕を持った方が作った凄まじいルアー。
それもハマった時の強烈さから、中毒性が極めて高いスイムベイトというジャンル。
このルアーが不人気になって生産終了するようなことは絶対に回避しないといけません。
何年後も、何十年後も作り続けて欲しい品です。