ハドルストンデラックス ハドルトラウト8インチ



カテゴリ スイムベイト

長さ 20cm(8インチ)

重さ 約110g以上(4オンス)

愛称 hudd(ハド)・ハドル等

販売メーカー ハドルストンデラックス社 HUDDLESTON DELUXE(アメリカ)


現代スイムベイトの代名詞


もしかしたら世界中の淡水フィールドで、最も数多くのデカいサカナを釣っているルアーの1つでは?


いわゆるリッジテールと呼ばれる特徴的なテールと中に浮力体が入った内部構造、頭頂部タイイングアイなどによる優れたデザインで徹底的に安定したアクションを生み出しています。


このテール形状は上記のリッジテールの他、ワグテール、ウェッジテールなどの呼び方があり、基本的にはどれも似た構造となっていて、当ルアーのテールを日本では「ハドルテール」と呼んでますが、製作者のケン・ハドルストン氏は「ヴォルテックステール」と呼んでいるため、ハドルテールは日本のみの呼び名です。


ちなみに当ルアーの一般的な名称も日本では「ハドルトラウト」ですが、正式名称は「ハドルストンデラックス 8インチトラウトスイムベイト」というなんとも事務的な名前で、一般的にはハドルストンスイムベイトなどと呼ばれています。


当サイズ以外に6インチ、68スペシャル、10インチ、ハドルギルとありますが、この記事は8インチのみを記載です。


パッケージ裏面にあるバーコード付近の「ROF」表記は、Rate Of Fall (沈下速度) の意で

  • ROF-0は沈まない=フローティング
  • ROF-5は10秒で5フィート(1.5m)
  • ROF-12は10秒12フィート(3.6m)
  • ROF-16は10秒16フィート(4.8m)沈という意味です、基本的には。


実際は個体差ありで同じモデルでも個体ごとに沈下速度が違うところはアメリカンと言うべきですが、われわれ日本人が気になるような細かいところなど全く気にしなくていいほどの能力を持っています。


ハドルが有名になった事件


2007年3月29日~4月1日にアメリカ西海岸のクリアレイクで開催されたバスマスターエリートツアー。

その大会はふたを開ければとんでもないウエイト合戦となり、その優勝ウエイトは4日間でなんと120ポンドオーバー…


スティーブ・ケネディ氏がそれを達成したのですが、

  • 初日5本で20ポンド(9キロ)
  • 2日目5本で約29ポンド(13キロ)
  • 3日目5本で約40ポンド(18キロ)
  • 最終日多分5本で約32ポンド(14キロ)

20本で55キロ、平均すれば2.75キロ/匹というとんでもない結果。


ちなみにこの大会は4日間で100ポンド釣っても上位5位までに入れず、4日間毎日10キロ釣っても優勝できなかったという凄まじいものでした。


さてさて、その大会でメインに使われていたルアーが各種スイムベイト。


その中でも多くの競技者が投げていたのがこのハドルトラウトだったそうです。


日本のハドルに対する評価



そもそもこのスイムベイトは2001年くらいには発売されていたそうですが、アメリカ本国で有名になったのは、西海岸において有名なトロフィーハンター(デカバス釣り師)である「ブッチ・ブラウン氏」というおじちゃんがハドルで鬼のように釣りまくった結果、徐々に有名になっていき、その末に上記のトーナメントで完全に火が付いたみたいです。


当然のことながら上記結果を受けて日本でも完全なブームとなり、2008年くらいから数年間は猫も杓子もハドルハドル。



フィッシュアローやヴァガボンドが取り扱ってたみたいですが詳しいことは調べてね。


だがしかし…現在はどうなってるか…


おそらく池原ダムやその周辺で使われている以外は廃れたと言って間違いはないでしょう…


じゃあアメリカ(英語圏)ではどうか?


毎年ある季節になると各SNSでは「今年もこの季節が来たな!!」と釣果が上がりだします。


そこに日本とアメリカ(他英語圏)でのハドルに対する違いがあります。


日本でハドルは誤解されている


「ハドルが一番効く季節はいつでしょう?」という質問に日本で釣りをしてる多数の方は「早春から春」と答えるでしょう。


アタシが何故このスイムベイトを溺愛するようになったのか?


「冬、それも水温が9℃以下になる厳冬期にミドルレンジで使うと、とんでもない威力を発揮するから」


それがこの質問に対する答えです。


そうです、SNSでアメリカを始めとした英語圏でのハドルで釣ったドヤ顔画像が目立ち始めるのも晩秋~初冬からなのです。


では何故日本では春がハドルや他のスイムベイトたちの活躍が春と言われるようになったのか?

これはハドルが使われだした時代に理由があると思っています。

その時代、2008年前後はスイムベイトというジャンルのルアーに対する知識がまだ充分でなく、ごく一部の有名人の声だけでこのルアーのイメージが決定づけられたことが原因なんだろうなと。


また、購入価格が当時の全ルアージャンルの中でもトップクラスに高かったのもあって、気安く使い倒せる環境になかったという経緯も関係し、日本のスイムベイトの使い方は「表層をゆっくり巻くルアー」だと固定されたまま、現在に至ったのだと推測しています。


ちなみにその時代は、今では琵琶湖の冬の風物詩となっている「ナイターのビッグベイト眠り巻き」がまだローカルの必殺技的な立ち位置だった時代でした。


しかし本国では違います。

リッジテール系のスイムベイトは何も表層だけで使うルアーではない。


それを裏付けるかのような仕様変更がこの数年でされていますので、下の画像をどうぞ。

お分かりでしょうか?ボディ下部についていたフックハンガーの存在が消えているのです。

「ボトム巻くルアーなのにお腹のフックハンガーは要らんでしょ」と言ってるかのようです。


なぜ厳冬期に威力が出るのか?


広い世界を探しても日本語でここまでハドルに言及した記事はないでしょう。


2015年~2022年までの7年間、国内でアタシ以上にハドル投げた人います?っていうくらいいつでもどこでも投げ倒しました。それだけ投げたんだから、アタシのこのルアーへの理解度、溺愛度を想像いただけると思います。


さて、水温9℃を下回ってくるとバスはいわゆる代謝が低くなる状態、アタシは「寝ぼけた状態になる」と呼んでます。

傾向としては、バスの口の歯付近(ザラザラのところ)が赤くなってきた頃ですね。

エサを食う気はあるんだろうけど、変温動物だからか?うまいことアタマが働かなくて?、なんかハイシーズンと比べてルアーへの反応の仕方が変わってきます。


なんかね、派手な動き、例えばクランクベイトとかへの反応が極端に悪くなるといった傾向が強く、冬季のバスから反応を得られるルアーってそれなりに限定され、このハドルのアクション(存在感)は反応を得られる1つだと感じています。


まぁ冬は小さいルアーがピリピリ動くか、大きなルアーがゆったり動くかみたいな感じ。


他のスイムベイトのようにテールを勢いよくブルブルと振ったりせず、ホワホワゆったりと泳ぐだけ。

こうしたハドル特有の動きが冬の寝ぼけた状態のバスに如何に効くか。

他のルアーが沈黙する真冬に爆発する特異なルアー、キングオブスイムベイツの通り名は伊達じゃないです。


ちなみに数年前、2018年くらいかな?スイムベイトが流行った時に「しっかりとヘッドシェイクするスイムベイトが釣れる」とよく言われてたと記憶してまして、これも間違いではないですが厳冬期はその限りではないということを感じます。


リッジテール系のスイムベイトってバチってスイッチを入れない感じなんですよね。

ん~スイッチ入りかけてるサカナを違和感なく食わせるイメージ。

ヘッドシェイクするスイムベイトはもう少し「強め」なのかもしれないね。


ルアーのアクション自体でバイトを引き出すルアーではない


長年使ってきて分かったのですが、このルアーのアクションというのはゆっくりテールを振って、それに連動して頭もわずかに振るだけの動き。


この動きってバスは「食えない」んですよね。食いたいんだけど。

姿勢とアクションが完全に安定してしまっていて、見ててもサカナに捕食スイッチを入れる効果があるとは思えない。

これを食わせるには、流れやスピード、レンジの変化、水面やブレイク、ボトムやカバーなどの「壁」を使うほか、他のバスと競わせるなどをする必要があり「ひたすら食われるのを待つだけ」という、実はめっちゃ受動的なスイムベイトだということである意味I字系のルアーに通じるのではないかと。


ルアーの動きではなく、その他の外的要因で捕食スイッチが入る系のルアーですので、リアルな動きには騙されないように。

もしハドルトラウトがあまり釣れないって方は、これを意識してみてください。

これを意識しないとチェイスのみで終わってしまいます。


人から見たアクションは確かに強烈なリアルさがありますが、バス(フィッシュイーター)はそのアクション自体を「余裕で食えるけど食うタイミングがなかなかない」と感じているフシがあります。


このスイムベイトが人気爆発した2008年くらいの時は、もしかしたらバージンインパクトで釣れていた可能性も高いですが、今はそれに期待するだけでは厳しいかなと思います。


そしてそんなハドルにも弱点がありました…


ハドル唯一の弱点


それは…ゆっくりでしか巻けないこと。

そうです、スピードバンドというか巻ける速度域がスロー域しか対応してないのです。

そしてそれは、9℃以下のように水温が低いであるとか、または28℃以上の水温が高い時期はこのスロー速度域が武器になるのですが、早春の水温が10℃以上に上がってきたような状況になると、バスたちの頭もシャンとしてくるのか?スローな動きは途端にやたらと見切られるようになるのです。


これが解った時はめちゃめちゃ落胆したものですが、今となってはバスフィッシングへの理解を深められたことに感謝しかないのです。

巻きの釣りをやり込まれてる方って、日本では少数派と思うんですよ。

巻いて使うルアーを少し理解できたことで、そういった方に少しでも近づけたのは嬉しいことなのです。


ハドルを使う上で本当に大切なこと


さぁ、ここからは世の中にあるハドルトラウトを始めとしたスイムベイトのことが書かれている記事などでも、おそらく書かれたことがほとんどない部分に突っ込んでみます。


実はこのハドル「水の硬さ」が硬いと感じない状況ではあまり釣れません。

水が硬く感じる?

ハドルで感じるなら、巻いた時の感じが「モッサ~」と重たく感じる時です。

水が柔らかい時はスッカスカな巻き感になります。

例えるなら、硬い時は流れの下流側(ダウン)に投げて巻いてくる感じ。

柔らかい時は上流側(アップ)に投げて巻いてくる感じです。

軟水とか硬水とかと水の柔らかい硬いが共通してるのかはよく分からん…


ある程度やり込んだ方じゃないと解らない表現になるのですが、水の硬さに釣果が左右されやすいスイムベイトで、理由は上に書いたこのスイムベイト独特のアクションにあるからです。


日本随一のフィールドである琵琶湖での釣果がビッグベイト(ハードボディスイムベイト)より目立たないもの理由があるのです…


このお話、ビッグベイトの釣りで有名な「赤鬼」さんにお聞きしたことです。

聞いた当時は「それは認めるけど、それでも絶対に琵琶湖でも釣れる!! ハドルナメんなよ!!」と心の中で生意気に反抗したものですが、今となっては中村さんの発言の本当の意味も良く解ります。感謝です。


が、そこは琵琶湖、絶対にハマる状況はあると思うので死ぬまでにクソデッカいの釣ったります。


「水の硬さ」についての考察はこの記事を見てくださいね。


総評

自身が今までに釣ったハドルでの自己記録はアメリカでの60オーバー 4350gです。

あ、アカメは110センチっす。

アカメはただ巻くだけじゃアカンよ。


ここまで読んでいただけた方はバッチリでしょう。

どのレンジでも適正スピードでの巻き速度なら徹底的な姿勢安定性とアクションを備えたルアー。


バスのバイトを引き出すには周りの環境をフルに使わないといけないという条件がありますが、アクションでスイッチを入れないという強み。


このことさえ理解できれば「キングオブスイムベイト」と呼ばれたこともあるルアーの真の実力を見ることができるでしょう。


オススメはこのブログで何度も書いてますが、真冬の水温9℃以下、理想は7℃以下に下がった状況でミドルレンジでエサを意識したバス狙いの「ボトムスローロール」。

厳冬期のボトムスローロールの記事はこちら

キンキンに冷えた空気の中でボトムを静かに漂わせている時に急にくるバイト。

根掛かりと常に隣り合わせのハイリスクな釣りですが「ギャンブルフィッシング」「ヒーローオアゼロ」という言葉がこれ以上似合う釣りはあるのか?と思えるメソッド。

ボートアングラーの方はやらなきゃ損。

陸っぱりアングラーの方でも、根掛かりロストでお財布が空になる覚悟をしてでもやってみたい方はぜひどうぞ。


アタシはこの先も冬になったらずっと投げ続けたい、最上級の言葉をもって評価するルアーです。


…あとバス相手ではないですけどね。


コイツ相手にもちゃんと効きます。

使い方はいくつかあるけど、基本は流れの中でボトムまで入れて漂わすって感じ。

↑はコノシロについて入ってきた気がするヤツで、わずかな流れを感じながらボトム3mくらいをゆっくり巻いて、底の硬いなにかをかすめた瞬間に食ってきました。

まさにハドルならではの食わせ方でしたね。


アタシ的には流れがなかったら他のルアー使いますが、流れがあったら強い気がしています。

アカメ相手にバイト取ってるのは、他にも高速巻きだったり、ジャーク&フォールだったり、フローティングにしてウキウキだったり意外と多彩な使い方ができる一品で、特に浦戸はメインで投げてたスイムベイトでした。


近年はこういった系よりも表層操作系のビッグベイトが定番になってるみたいですが、アタシぶっちゃけアレ系の市販品あまり好きじゃないのよ(ゴメン、悪気はありません…)。

それするなら自作のS字投げるし。


ということで、気になった方は海でも投げてみてくださいね、と。