シグナル デビルスイマー 7 (セブン)

カテゴリ スイムベイト

長さ 18cm(7インチ)

重さ 約35g(1・1/4オンス)

販売メーカー シグナル(日本)


評価が難しい品


まずこのスイムベイトへの評価ですが、嫌が応にもベンチマークは決まります。

それが同メーカーのデビルスイマーオリジナルモデルとの比較。


強烈に釣れるデビルスイマーの後発モデル。

当然ユーザー(アタシ)としては、デビルスイマーオリジナルとそん色ない釣果を求めることになってしまうのですが…


長年なんだコレ的なモデルでした…


アタシ的にはオリジナルモデルの釣果がとび抜けており、後発のデビルスイマーセブンについては全く意味不明な感想でした。

まずアクション。

オリジナルモデルの人から見ても釣れそうかつバスからの反応も素晴らしい美しいとも言える動きとは裏腹に、セブンはバランスの取れてない変にクネクネした動きだな…といった感想。


左がオリジナル、右がセブンのテールデザイン。

オリジナルモデルよりも格段に大きくなったテールの影響か?

ボディがテールアクションに連動してかなり大げさにクネクネ動くのです。


釣果もオリジナルモデルのような「勝手に食われる」感じではなく

「ん~悪くはないけどコレじゃないと的な感じでもない」という、フツーな感想。


正直このスイムベイトを持て余していました。

オリジナルモデルが効く状況では、セブンを使う意味を見い出せなかったのです。


試行錯誤してみた


このブログで頻繁に取り上げているハドルトラウト。


アタシ的な使い方は、低水温期における「ボトムのスローロール」で、フックセッティングは頭にシングルフックを打つ「トップアイセッティング(背針セッティング)」をかなり検証していました。


それで「他のスイムベイトにもこのセッティングをしてみたらどうか?」となるのは当たり前の成り行きでした。

そして、ハドルトラウトをボトムで巻いた時の優位性「良好な根掛かり回避性能」はどういった要素から来てるのか?を考えてみると…


いくつかの要素がありましたが、キーとなるのが「タイイングアイの位置」。


ハドルトラウトは鼻先ではなく、頭の上にタイイングアイがあります。

これがフットボールジグのように、ゴロタなどの背の低いハードカバーに対して根掛かり回避が有利に働くのだなと感じました。

コレをデビルスイマーセブンに適用してみようと。



通常では鼻先から出ているタイイングアイを少し上に上げて眉間くらいから出す仕様に。

狙いは前述のようにボトムでの根掛かり軽減ですが…


効きそうな状況に遭遇


ある12月、桑野川でのことです。

水温は10~12℃と、ハドルトラウト8インチのボトムスローが効く水温より少し高め。

ハドルはスローすぎて見切られる。


過去の記事に書いた「チューンドハドル6インチ」もちょっと弱い。

そんな状況でふと閃いたのです。

このチューンドデビルでボトムをスルスルと巻いてみたらどうか?と。


上に書いたように、ゴロタなどのハードカバーに対して根掛かり回避を有利にするために鼻先アイから頭頂アイに構造変更したモデル。


やり方は内部構造のウエイト一体型のワイヤーを曲げ、頭頂からタイイングアイが出るようにしました。


フックはハドルトラウトを踏襲して、頭頂部のタイイングアイにシングルフックを装着するスタイルに。

試作して現場で試してみると、予想外の出来事が発生していました。


クネクネした動きが減り、ロールが強くなっていた…


そうです、タイイングアイの位置を鼻先から頭頂へと変更したことにより、テールを大きく左右に振る動きは維持してるものの、ロールアクションもけっこう出るアクションに変わってしまったのです。

しかし釣れなさそうな動きではなかったので、そのまま投入。


折しも桑野川はその時まとまった雨が降って水位が少し上昇し、濁りも入った状況。


「ま、バイトが取れるだけでもいいか…」と投げ始めました。


めっちゃバイト出た…


まずは仕事終わりの夕方30分で5バイトくらい。

その感じが気になったので、日没後もキャストを続けると、釣行の約1時間半で20バイトくらい出てしまったのです…もしかしたらシーバスも混じってた?


これにはマジで焦りました。

現在の桑野川の状況をご存じの方は、このバイト数がいかに異常なものか解っていただけると思います。


「これはヤバいチューンドを作ってしまったかもしれない…」と興奮。

だがしかし…懸念事項がありました。

20バイトほど取ったのに、掛けてランディングできたのはわずかに2本。

帰宅して、明るい場所で投げていたチューンドデビル7をまじまじと観察してみると…


ボディの真ん中~やや後ろ部分に歯型が集中していたのです。

そうです、チューンを施すことにより変化したアクションに対して、多数のバスがフックがある頭部ではなく、ボディの真ん中付近を食ってきていたのです。


ということは、ボディの真ん中付近に針を打てないと、ほぼ針掛かりさせられないことが分かったのです。


ということで更なる試行錯誤。

フックを打つ位置をセットバックさせるためにやった改造はコレ。


内蔵ワイヤーをそのままひっくり返して、既製品と同じくらい後ろにフックハンガーが来るようにしました。

そしてバイトを取っている時に気づいたのは「1秒間にハンドル1~2回転くらいの速さが一番食ってきた」ということ。

それに対応するために、約3gほどの内蔵ウエイトを6~8g程度にウエイトアップ、水深2mほどのボトムをミディアム~ミディアムハイスピードで巻けるようにしました。


根掛かり回避性能は相対的に低下してしまいますが、そこはある程度妥協することに。

はやる気持ちを抑えて次の日まで待ち、新たなチューニングを施したモデルを実践投入してみた結果…


すぐに答えは出ました。



その日バイト自体は減ったものの、短時間で確か3~4本のバスをランディング。

現在の桑野川のコンディションからすれば上出来な結果で、このスイムベイトに大いなる可能性を感じることになったのです。


それから2年間くらい検証を続けて、特に初冬と早春に効くタイミングがあることを確認しました。


この見事な一本は初冬の旧吉野川で。強烈な食い方でしたわ…


食ってくるサカナはどれも満足できるもので、また食い方にどこか違和感があり、エサ食いっぽいサカナに絶大な効果を発揮するチューンドハドル6インチでは食ってこない状況で食ってくることが分かりました。


どうやらこのチューンドデビル7、スイムベイトのテールアクションが効くというよりは

「ボディ全体のロールでバスのスイッチを入れている」ように感じました。


ハドルトラウト全般に言えますが、あのシリーズはバスに対して「バチっ」とスイッチを入れる感じではないのです。

スイッチがほぼ入ってるサカナに違和感を抱かせずに食わせるイメージ。


対して、チューンドデビル7はそれよりもスイッチを入れる効果が高いなと感じました。

この差は結構大きいです。

おそらくですが、大きめのテールが本来するであろうアクションをあえて殺してると思われ、スイムベイトらしく「テールアクションだけでサカナを誘ってない?」気がするのです。


そんな経験を経て改めてこのスイムベイトを観察すると…


ロールアクションで食わせることを想定したかのようなデザインというのに気づきました。

ボディ側面がフラットな形状かつ、オリジナルモデルのようにツヤ消しにもしておらず。


もしかしたらこのモデルが想定していたのは、ロールアクションで深いタナから食い上げさせることを想定していたのかもしれません。

そこで誰もが思い付きそうな考えを…


このチューンをオリジナルモデルにしてみたら…


そうです、元が釣れ釣れモデルのデビルスイマーオリジナルにこのチューンをしたら凄いことになるのでは?とイヤしい考えがすぐに出てきたので、早速やってみると…


はい、ロールアクションが変に強く出てオリジナルモデルのアクションが死にました…

釣れるとは思うけど、ノーマルのデビルスイマーを凌ぐってのはなさそうかな、と。

更に、オリジナルモデルはデビルスイマーセブンよりもひと回り小さく、チューニングに対する許容範囲が狭くてチューニングには向かないことが判明(当たり前…)。


結局、このチューニングは失敗に終わり、デビルスイマーセブンのちょうどいいサイズ感がアタシのヘンテコなチューニングでも破綻することなく上手く機能してくれたのです。


総評


デビルスイマーセブンをノーマルで使うのはアタシには難しかったです。


が、自身が出会う状況に合うように改造したチューンドデビル7は、他のお気に入りスイムベイトたちと同じように「なくてはならないルアー」になってくれました。


改造によりこのスイムベイト自体の重量が1.5オンスほどになり、根掛かり回避性能が少し悪くなっているため、使いどころにはある程度気を付けないといけませんが、独特の食わせ能力を活かして素晴らしい釣果を与えてくれています。


自分の中ではデビルスイマーやハドルとはまた違う、明確にスイッチを入れてくれるイメージのスイムベイトであり、これまた唯一無二のモデルです。


スイムベイトというジャンル自体が日本では不人気で、10年くらいの周期で流行り廃りを繰り替えしていて、いっこうにスタンダードなメソッドが生まれないもどかしいジャンル。


スイムベイト=表層をスローに「巻くだけ」のルアーというところから未だに脱却できていません。


アタシが何故そんなジャンルを溺愛しているのか?というと、好きだからってのもあるんだけど、

「トロフィーハンティング」に使えるルアーだから。

人生最高のサカナを狙える可能性が自分の中では最も高いと思えるジャンルです。

たしかにスイムベイトというルアーは弱点も多く、ハマる状況も決して多くはない。

が、ハマった時の威力は凄まじく、またルアー自体も難解で使い甲斐のあるモノです。


アタシが使ってるように表層スローだけではない、ハイスピードやボトム、ディープレンジでもサカナは釣れますからね。


さぁ気になったあなた、スイムベイトの泥沼に来てみませんか…