フロリダバスとノーザンラージマウスバスの見分け方・おまけにスポッテッドバスも


2000年に入ってはや20年以上。

今でこそ「フロリダバス」という言葉を頻繁に聞くことはなくなってきましたが、デカいバスを狙うことを目標としている方にとってこの名前は今でも無視する訳にはいかない重要な項目です。


とはいえ「いつも釣ってるバスがノーザンなのかフロリダなのかイマイチ分からん」って方も多くいらっしゃると思います。


ネットで検索しても出てくるのは大体がこういったことかと思います。

ウィキペディアのフロリダバス記事

つっても「現場でウロコの数とか数えれんし」ってのが正直なところ。

さぁどうしましょ。


ということで今回はフロリダバス(フロリダラージマウスバス)と、ラージマウスバス(ノーザンラージマウスバス)の現場での見分け方、そしてアタシが住む徳島でも一時期話題になっていた「スポッテッドバス(スポッツ)」の見分け方を紹介します。


そもそもフロリダバスとは?


基本的なことはネットで調べてみたら出てくると思いますので割愛しますが悪しからず。


フロリダバスは名前の通りフロリダ半島原産だということです。

フロリダ半島のフィールドは行ったことがないので分かりませんが、調べる限りではその多くが「湿地帯」だと推測されます。



そこで進化を遂げてきたフロリダバス。

あまり有名にはなっていませんがその特徴の1つとして「口の大きさ」があります。


なぜか?

湿地帯は往々にしてマッディシャローな場所が多いと思われます。


狙いの定まりにくい透明度の低い水中での効率的な捕食を実現するため、獲物を周りの水ごと一気に吸い込む能力。


少しでも多くの水を吸い込むために口が大きく開けるよう進化したのでは?と推測しています。


ほら、ダム(貯水池)とかで透明度が高く中層の小魚などを捕食してることが多そうなフィールドのサカナって口が小さくないですか?

その逆です。


一説では50cmを超えるフロリダバスなら一回のバキュームで2リットル以上の水を吸い込めるのだとか。


そして一般的には温暖な地域で進化してきた種らしく、低水温よりも高水温を好みます。

それは産卵にも表れていそうで、ノーザンラージマウスバスの産卵適温は14~18℃経験上感じていますが、フロリダバスは16~20℃以上と感じています。


次の特徴2つも経験からの推測になりますが「夜行性が強め」と、「スイッチのオンオフが激しい」というのもあります。

これはフロリダという場所の生態系に起因するのではないかと。


フロリダの湿地帯では、たしかバスは生態系の頂点には位置していません。

ほら、ワニとかいるっぽいじゃん。

なのでバスは他の捕食者から身を守る必要があった。


そこで夜行性が強く、食べる時には一気に、それ以外はひっそりと。

という生活になっていったんじゃね?って感じています。

知らんけどね。想像です、想像。


あとはフロリダバスの濃そうだな~と感じるサカナ(フィールド)を釣ってると、回遊性がかなり高かったり、朝夕などのタイミングでは極端にタナが上下する印象を受けますね。


では見分け方は?


現場での見分けは慣れたらすぐ分かります。

ヒラマサとブリくらい違う。


え?全然分からん?


アタシは主に3つの外見的特徴から見分けてます。


※注意

この見分け方はいわゆる遺伝子的な違いではなく、現場レベルでの違いです。


アタシは遺伝子的な特徴よりも「デカいのが狙える場所やメソッドなのか?」という理由でフロリダバスを意識しているからで、極端な話デカいのが釣れるならそれがフロリダバスでなくてもどうでもいい。という、生物にとってある意味かなり失礼な考えです。



だからフロリダ純血種であるかどうか?というのも重要視していません。

これもノーザンラージマウスバスとの混血、アメリカでは「タイガーバス」と呼ばれているそうですが、タイガーバスの方が大きくなる可能性が高いのだとか。

だから純血であるとかもこだわっていません。


タイガーバスの説明はジークラックの北嶋プロが。この動画見て損はないです。


上記理由から、この記事で書くことはあくまでも現場レベルでの見分け方であることを理解ください。


下アゴの長さ


上記にあるとおりフロリダ種が入ったバスは下アゴが長くなる、というか下アゴが突き出たように見える特徴を備えた個体が一定数います。

口を大きく開けられるように進化したのかなと考えてます。


皆さまが一番よく目にするのが琵琶湖南湖のバスでしょう。


下アゴの長さが分かりにくかったらゴメンね。

このバスはフロリダバスとの混血、すなわちタイガーバスの特徴が濃く出た個体な気がしてまして、琵琶湖はこういったサカナが非常に多い気がしてます。


これなら分かるかな?カリフォルニア州、レイクシャボットのバス。下アゴが長く見えません?気のせい?


対してノーザンラージの画像張ってみましょうか。


どうです?比べたら下アゴ短いの分かりますか?

分かりにくいかなぁ…きちんと比較できるような適切な画像がなくて申し訳ない…

慣れたら分かります。ホントなんです。


人によってはフロリダバスは頭部が大きいとも言えますが、アタシ的にはそれは間違ってはないけどちょっと違うかなと。


魚体側面の模様

これは勘の鋭い方ならお気づきでしょう。


側面の柄模様が少し違って見えることが多いです。

まずは推定フロリダバス


この個体はけっこう典型的な感じ。


次にノーザンラージ


ノーザンラージは側線に沿うように模様が出る傾向があり、側線付近から上下に離れたところには模様があまりありません。


そして模様の斑点が丸い傾向が多いです(斑点がポコポコしてる)。


対するフロリダバスは側線から上下に乱れ散った斑点があり、模様の斑点がとがってます(斑点がザキザキしてる)。



このギザギザなトラ模様が前述のアメリカでの「タイガーバス」と呼称される由来ではないのかなと。知らんけど。



尾びれの形


これは特定の補足的な感じで見るにとどまりますが、ノーザンラージと比べてフロリダは尾びれの端が少しだけとがってる気がします。


まず推定フロリダ種

続いてノーザンラージ。


ゴメンねぇ、分かりにくくて…

これも現場で見慣れたらパッと分かる感じになりますが、これは琵琶湖のサカナだからなのかも。


以上が現場レベルでの見分け方になります。


これらの見分け方は、とにかく普段から注意深くバスの魚体を見ていたらいつの間にか違和感として違いが分かるようになってきますので。


じゃあスポッテッドバスは?


以前県内で「吉野川のバスはスポッツの血が入ってるのでは?」と噂になったことがあったのです。

え~と、確か2000年くらいだったと思います。



  • 冬でも表層で食ったことがあった。
  • 口内にポッツン(舌歯ぜっし)がある。


コレが当時の噂の内容で、スポッツはこうした特徴を備えたバスだとどこかから聞こえてきたのです。


アタシはスポッツのことを知らなかったので、この説に対しての答えは出ていませんでしたが、ついに検証する機会を得たのです。


アメリカで実際にスポッツを釣ってきた


去る2016年春、アメリカで釣りができるチャンスが到来。


その旅ではカリフォルニア州で6日間バスを狙うことができ、その時に訪れた1つのフィールドが「サンパブロリザーバー」でした。


その時のサンパブロリザーバーでは、もう何年にも渡ってラージマウスバスよりもスポッツが生息数的に優勢になり、ラージマウスバスがかなり減っていたのだとか。


ここポイントです。


基本的にはラージマウスバスとスポッテッドバスは相互に交配しにくいらしいのです。

これは諸説あって確定な話ではないですが…



で、実際に釣れたスポッツがこちら

パッと見た感じどう思います?

アタシはその実物を見た瞬間こう思いました。


「ラージの模様したスモールマウスバスやな…」と。

実際に見てみると見慣れた日本のノーザンラージとは明らかに違います。


そしてルアーに食ってくる感じや引きもラージのそれとは明らかに違う感じがしたのを今でも覚えています。めっちゃ引きます。


で、見分け方です。

これも慣れたらマルスズキとヒラスズキくらい違います。


スポッツの実物は弾丸っぽくてかなりカッコいいです。

日本でスポッツの特徴と言われてる口内のポッチン。


あれは「日本人の勝手なミスリード」です。多分。

そんなもん実際にはありませんでした。


スポッテッドバスの由来、それはここです。

尾びれの付け根の模様が独立したスポット(斑点)になってる。

ね、分かります?


ノーザンラージは…

ね。斑点模様が繋がってるのよ。


で、結論。


アタシは今のところ日本国内でスポッテッドバスを疑うバスを見たことがありません。

吉野川のもれっきとしたノーザンラージです。


はー、スッキリ。


けどね、しっくりこないから更に考察…


上記の内容がアタシが今まで経験してきた答えで、でもねぇ…と思った内容。


例えば琵琶湖、特に北湖エリアで見ることが多い個体。


例えばコレです。

見慣れてればそんなことないんですけど、口が小さめで模様もそれほどと、ノーザンラージの特徴が濃い気がするんですよね。アタシが見た感じは「明らかに地元にいるノーザンではない」ですが。


これの説明は今のところできずにいます。

ただ、釣ってみて感じるのは性格的にノーザンラージっぽくなく、やっぱりフロリダな性格してるなぁと。スイッチのオンオフがやっぱりかなり激しいのよ、どうも。


琵琶湖のバスは基本的にスイッチをバチっと入れるような釣りが効果的だと感じてるんですが、それはフロリダバスの性格が色濃く出てるからでは?と思っています。


さらに、長年北湖で釣りをされてる方の証言では「フロリダが入ったと思われる頃よりもっと前から70cmクラスの目撃はあったよ?」と。


う~ん…どういうことだ?

ノーザンラージは60cmちょいまでしか大きくならないというのが通説だけど。


さらに今度は地元徳島県でのお話。


皆さまご存じ旧吉野川でのレコードってご存じですか?


アタシが聞いた話は、釣ったご本人から聞いた話ですがエサ釣りで67cmが上がったそうなのです。(1990年くらいのことらしいです)


旧吉野川では今までフロリダ種を疑う個体を見たことはありません。

バスの性格的にもバリバリのノーザンラージです。


もしかしたらノーザンラージ種でも、そのフィールドに個体が放流されて20年くらいまで(およそ2世代分)なら驚異的に大きくなる個体がいるのかもしれませんね。


記録更新ラッシュが続いたアメリカでのスモールマウスバス。


2015年~2017年くらいの間にカリフォルニアで湧いたスモールマウスバスのレコードクラスがバンバン釣れた事件。


これも諸説あって信ぴょう性は薄い話ですが、もしかしたら今までのスモールマウスバスとは違った新たなハイブリッド種だったのでは?というお話です。


さらに昔聞いた話では、日本でもスモールの種類は1つじゃないらしく、檜原湖は…とかなんとか。


ちなみにスモールマウスバスとノーザンラージマウスバスが混在するフィールドって、往々にしてスモールマウスバスが優勢種となるようですが、あれは産卵時期に起因すると思います。


スモールの方が低水温から産卵行動に入れるのよ、スモール詳しくないから知らんけど。


産卵に適した場所をひと足先にスモールに押さえられるから、ラージは産卵が上手くいきにくくなって、徐々に数を減らしてしまうというメカニズムだと想像しています。

ここまで見て頂いた方にオマケ


今回はいつもにも増して饒舌ですよ。

日本国内のフロリダ種を疑うバスの生息は、琵琶湖水系、池原・七色ダム水系、富士五湖のいくつか、を聞くくらいでした。


現在、日本各地で釣られたバスの画像を各SNSで見てみると…


で、日本に広まったフロリダ種は池原ダムから拡散したのか?


日本でフロリダ種を疑うバスが多く出てきだしたのは実は共通した時期があって、1998年頃がその始まりと…想像の話ね。物証はありません。


もし、こういったよもやま話が聞きたいという方がおられましたら徳島のフィールドでお会いした際にはいくらでもお話ししますので。


この辺の話は、いわゆるプロと言われる方の口からはほぼ出てこないのでは?と思います。


が、知りたい方の探求心を止めることはできません。

そんな時にもしミスリードをされたら…


そしてその「知りたい人」が、次世代を担う若い方だとしたら…

もったいないですよね。


という気持ちがあってここまで書きました。


この手の話は法とかモラルとかも関わってくるので自分的にはかなり攻めた記事になりましたが、参考になれば幸いです。