ホッグハンター(ベイトスミス) マグナムトラウト9.5インチ


カテゴリ スイムベイト


長さ 24cm(9.5インチ)
重さ 180g以上(6.5オンス)

愛称 マグナム、マグトラ

販売メーカー ホッグハンタースイムベイツ HAWG HUNTER SWIMBAITS 昔はベイトスミス(アメリカ)


ハドルトラウトを凌ぐ?スイムベイト


各ジャンルのルアーの中でも異端だと思っているスイムベイト。

そしてその中でもさらに異端な立ち位置だと思っているリッジテール系スイムベイト。



その中で「キング」とされているのは、日本でも有名なハドルストンスイムベイト(ハドルトラウト)です。

ひと昔前、日本でもハドルが完全に知れ渡ったくらいの頃、とあるスイムベイトが噂になっていたのです。


ハドルより釣れる?著名アングラーもその名前の公開を控えていた恐るべきスイムベイト


その名もベイトスミスマグナム(マグナムトラウト)。


アタシがこの話を知ったのはハドルトラウトの釣りに目覚めた2015年冬以降になります。


ハドルが好きになりすぎて「もっと釣れるハドル系はないのか?」とあるあるな感じでネットで調べていたら出てきたのがこのスイムベイト。


どんな動きをするのか確かめたくて探しまくり、現在の所有は3つだけ…気づくのが遅かった。

というのもこのマグナムトラウトを発売したベイトスミスというメーカーが、2011年くらいかな?定かではないですが倒産したみたいなんです。

その理由もきちんと調べていないので分かりませんが、マグナムトラウトの内部構造、テールデザインがハドルトラウトにそっくりで、ハドルストン社がベイトスミスを訴えたのだとかなんとか…


ハドルストン社の看板ベイト、ハドルトラウトのテールに使われてる「ヴォルテックステール(ハドルテールは間違い)」の特許はレゴベイツが持ってるとかって話も聞いたことあるし、真相は日本ではあまり分かりません。


そういった経緯もあって、マグナムトラウトは日本市場になかなか出てこず、出てきてもとんでもない値札がついてしまう「幻のスイムベイト」です。


2020年に気づきましたが、アメリカでホッグハンタースイムベイツという会社がマグナムトラウトを復活させたとのこと。

これは先に書いたテールデザインの特許が20年経って切れて発売できるようになったのでは?と思ってます。

調べてないので分かりませんが、多分そんな感じだと思います。


となると、あれあれ?

2021年くらいにも日本のいくつかのメーカーがリッジテール系を出しましたよね?


その中の1つのメーカーの記事を読んだところ「長年に渡って開発していた目途が立ってようやく出せた」的なこと書いてあった気がしましたが、他の国のメーカーの多くでもリッジテール系を発売しだしたのも2020~2021年…


ふ~ん…


このスイムベイトのことを公に紹介していた著名アングラーは、”ロボ奥田”奥田学さん、”赤鬼”中村哲也さん、サタン島田さんくらいかと思います。


ということは…皆さま、ご自身が信頼している情報発信者の方が「何を思って話しているのか?」はきちんと調べましょう。


ルアー売りたいだけの方々に釣られるようなことはもういいかと思いますよ。


ま、マグナムトラウトも、もしかしたら日本での取り扱いが再開されるかもしれませんが、本国での価格が95ドルなので日本では17,000円~20,000円以上くらいになるでしょう(1ドル130円くらいの場合)。


それでもその値段なら買う人は一定数いると思いますけど、お店的には多分あまり面白くない商売になるので、やっぱり最終的には「幻のスイムベイト」になると思います。ストックしてる方は経年劣化で白化やベタベタが来て使い物にならなくなる前に売られた方がいいと思われます。

マグナムを所有されていてモノ好きな方がいらっしゃいましたらアタシにぜひともお声がけください。


さてこのマグナムトラウト、キングオブスイムベイツと呼ばれるハドルトラウトを超えているのか?


リッジテール系スイムベイトをこよなく愛するアタシが出す結論は…


「ハドルトラウトとはまた違った唯一のスイムベイト」です


ハドルトラウトの持つ唯一性、それはスローロール領域における絶対的な安定感です。



ハンドル1回転3秒ほどのスロー(デッドスローよりは遅くない)な巻き速度における確実なアクションと絶妙な浮遊感。

ブラックデュラゴンやネコソギ、なんかのデッドスロー系のビッグベイトを使い込まれてる方はお分かりいただけると思いますが、この安定感というか浮遊感が他のスイムベイトとは明らかに違うのがハドルです。


対してマグナムトラウトは…


冒頭のスペックをご覧になりましたか?

9.5インチで6オンス。


ハドルは8インチで4オンス、明らかにマグナムトラウトが体長に対して重いのです。


初めてマグナムを手に入れて持った瞬間に「ん?重ない!?まさか沈むの早くないコレ!?」と焦りました。


なんせリッジテール系スイムベイトはジョイクロのサスペンド仕様のような浮遊感が命と思っていたからです。


その予想は的中し、手に入れたマグトラは沈下速度が30~50cm/秒くらいの日本ならファーストシンキングといえる沈下速度。



アタシがハドルのROF-0モデルにネイルシンカー入れてスローシンキング仕様にしてるモデルは10cm/秒ほどです。

これは買い物ミスったか?初めはそんな風に感じましたね。


日本でその名が広まらなかった理由は沈下速度だった、多分


ハドルトラウト関連の記事にも書いてますが、日本でのスイムベイトと言えば「表層をスローに巻く」というのが絶対のように語られてます。


特に6インチクラス以上のスイムベイトはその傾向が強いです。


これは間違いではないけど正解でもない。


そればっかりやってても、釣れない状況は確実にあるからです。

ではなぜ表層スローという言葉しか出てこないのか?


まず、日本での釣りが陸っぱりアプローチというのが大半だからというのが主な理由だと思います。


単価的に安くないスイムベイトを、陸からの釣りでボトムを巻いてくるというのは一般的に支持されなかったので、有名な方もその方向での発言をしなかったのでしょう。

次に2000年初めのタロン、2008年くらいのハドルトラウトの爆発的な流行において、スイムベイトは表層という「常識」ができたのだと思います。


そこでこのマグナムトラウト、沈下速度はそれなりに速く、フツーに巻けば水深2mくらいを泳いできます。


このスイムベイトが噂になってたのは2009~2011年くらいが多い感じで、その頃に使われていた方々はもしかしたらマグナムトラウトに内蔵されているウエイト(オモリ)を削って軽くすることで、表層付近を巻けるように改造して使ってたのかもしれません。


いまだにネットで見つけられるマグナムの記事は「釣れるらしい」という表現は見えるものの「コレでないとアカン!!」と書かれた記事はそんなに見つけられません。


ということは…当時はそんなに使いこなせてなかった?


このスイムベイトはミドルレンジ専用である


表層スローでマグナムを使うのは無理があります。ということは陸っぱりでの出番はほぼないでしょう。


本当に有効な条件は、ボートからのアプローチで水深3m~6mのレンジを巻いてくるです。

ですので、アタシの普段の釣りではほぼ出番がありません…


ハドルとの明らかな違い


それはボディの硬さによる効く状況の違いで、マグナムはハドルと比べてマテリアル?が硬いです。


ハドルもベロベロではないですが、それよりはるかに硬めで日本のアングラーからすれば違和感を持たれるレベル。


それが何を意味するか?

「柔らかい水のフィールドでこそ真価を発揮する」です。


柔らかい水って何?という方はこちらをご覧ください。

体感的に解ってる方じゃないと難しい内容かもしれません。


琵琶湖にはハドルより合ってる、多分


1月の琵琶湖北湖でボートに乗せてもらって獲った一本。

ん?っていうか、マグナムでまともなサカナ釣ったのこれしかないぞ…

すいません、そんな素人がこんなこと書いて…

この一本は琵琶湖というフィールドでは自慢できるサイズではないですが、狙った状況的に自分的には文句なしで、感覚的にマグナムトラウトが効いたな~と感じたサカナでした。


この時の状況は水深4m少々のボトムをスルスルと巻き、沈みモノのトップに当てて抜けた瞬間に食ってきたというミドルレンジ専用ならではの使い方でした。


スイムベイトは表層、スローだけで使うのはもったいない


スイムベイトの釣りをやり込んでいく最中に「表層スロー」というのが効かないタイミングに出くわすことがどんどん増えていきました。


結構なんでも釣れるアフタースポーン後期や、真夏以外は特にその傾向が顕著に出るのを体験しました。

何年間にも渡っていつでもどこでもスイムベイト投げてたから当たり前やね。


そして「巻き速度速くしたら食った」だとか「ボトム巻いたら食った」という経験が増えてきて、スイムベイトも実は他のルアーと同じで、色んな使い方で食わせられるのが解ったのです。


考えてみたらこれも当たり前なんですけどね。そんなことをきちんと教えてくれた1つがこのマグナムトラウト。


ハドルが「静」のスイムベイトだとすれば、マグナムトラウトは「動」のスイムベイト。


ハドルトラウトが主にシャロー~ミドルのスローロールで真価を発揮するのとは対照に、マグナムはミドル~ディープをスルスル巻くのに対応するタイプ。


バイトを取るだけなら、琵琶湖の水深10m付近とかでも取れてます。


また、浦戸湾で流れが強くてハドルではきちんとステイさせられない状況でもマグナムは余裕。

(バスちゃうけど)


ということで自分的には完全に住み分けができています。

そして、ボディの硬さからくるハドルが効かないフィールドや状況でこそ威力を発揮するので、大切なのはフィールドとサカナに合わせることです。


マグナムトラウトは日本での陸っぱりの釣りではなかなか出番がありませんが、ボートアングラーであればハドルよりも使う状況は多いと思います。


ちなみにアクションは素晴らしい!!のひと言。巻いたら鳥肌立ちます、マジで。


総評


スイムベイトを語るうえでは避けて通れない品で、ハドルトラウトを凌ぐかどうかは別としてこれもまた唯一のスイムベイトであることは間違いありません。


上記内容に該当する条件で釣りをされる方で、もし中古で見つけたら一秒も迷うことなくレジに持っていきましょう。

アタシはいくらでも欲しいです。この辺のバスにはもったいなくて使えないけど海や琵琶湖で使いたいの。


特に四国や九州の太平洋側、海で使えばとんでもないサカナを狙うことが可能です。

流れの中での動きは人が思ってる以上にデカいサカナに訴えかけるものがあるんだと思ってます。



ということでこのルアーは…

トロフィハンター=「人生最大のサカナを淡々と狙う人」が持つルアーです。