釣具屋さんと人間関係

  • 2024年8月21日
  • 雑記
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今回は昔話を。

今から10年以上前、徳島市内で「WEST」というプロショップ(ルアー専門店)がありました。

アタシはそこに高校3年生の頃から10年以上出入りし、釣りだけでなく本当に色んな経験をさせてもらった思い出深いお店です。


当時は現在よりもはるかにバスが釣りやすく、ZEAL、メガバス、エバーグリーン、ラッキークラフトといったメーカーとその品が凄い人気で、そういったメーカーの品を手に入れようとしたら、釣具屋さんで販売する日に並んだり、人気薄な品に抱き合わせされた状態で買ったり…といったことが多かったです。


が、この店は定価販売。

ただ「常連さん優先」という暗黙のルールがあり、上記メーカーの品を買おうとしたらお店で顔見知りにならせてもらうという、今の時代では一般的ではないのかな?そういった流れがありました。


アタシがそのお店に出入りさせてもらうようになったのも、当時人気絶頂だったメガバス製品が欲しかったという褒められたものではない理由。


このお店の元常連として故店主さんの名誉のために記しますが、批判が出やすいこういった「常連さん優先」的な営業方針は、店主さんに情がありマナーやモラルをかなり重んじる方で、「しかるべき人にしかるべき品を売りたい」という商売上の吟時(ぎんじ)があったからなのだと理解しています。


さてその店構えは、良くも悪くも「昭和的」で、決して広くない店内にところ狭しと並べられた品々。

そして店奥のレジ前に数脚置かれたイスにはいつも常連さんが居座っていて、一見さんにとってはかなり店内にいずらい雰囲気で、今の世であればグーグルマップの口コミが大変なことになるの必至な「愛すべき」お店でした。


その当時の徳島県内(主に徳島市内)の釣具店は、いまでも健在の「いはら釣具」の他、個人経営のお店がいくつかあるといった感じで、今のようにポイントといはらがメインな感じでなく、個人店の影響力がかなり強い様相でした。


トップウォーター系や、オシャレ系な方が多く集まっていた「ワイルドフィッシュ」

当時けっこう盛んだったバストーナメントに出てる方が多く集まっていた「ダブルアール」

このWESTはどうだっただろ…

メガバス、エバーグリーン、ZEALとかが好きな人が集まっていたという感覚は確かにあるのですが、もっと違う表現がありますね。

自分を含めて「変な人が多かったw」ですね。

ただ、変わってるけど釣りがメチャウマだったり、情に厚かったり、人としてアングラーとしての礼儀に厳しい方が多く集まるお店だったと感じてます。

ま、その反面、人気商品が手に入りやすいということで人としてどうなの?という人も多くいて、本当に色々な濃い人たちばかりの「カオス」なお店だったことは確かです。

お客さん同士で喧嘩したり、店主さんに怒られたりとかフツーにあったからねw


アタシも頻繁に出入りさせてもらった身として、もし当時不快な思いをした方がこの記事を見ていただいたのであれば「すいませんでした」と言わせていただきます。


さてさて、まだまだこのお店の話は終わりませんよ。

アタシのルアーフィッシング人生はこのお店がなければなかった、と言っても過言ではなく、本当に色んなことを故店主さんや常連さんである各先輩方に教わりました。


釣りのことはもちろん、人生のこと、恋愛結婚のこと、人間関係のこと、人としてアングラーとしての立ち振る舞い。


アタシが19歳の時、常連さんであったYさんと店主さんに「大ちゃんは人の言うこと全然聞かんな」って笑いながらも目は真剣に言われたことは一生忘れられないですね。


あれは人として最低だった当時のアタシに対して、他の方とのコミュニケーションでは「相手が本当にい伝えたいこと(言葉の裏)をしっかり理解し、その上で発言しなさい」といさめてくれたのでして、あのひと言がなければ今はどうなってたか分からないです。


いまだに未熟者は変わりませんが、アタシはそれから7年くらいかけて性格の矯正や人間関係をどうやっていくか?を試行錯誤しながら構築していったのもいい思い出です。


このお店では「釣りが上手くても人として未熟だったらアカン」という空気があり「アングラーとはなにか?」ということを真摯に考えよ、というスタンスの方が多く、そういった教えは今のアタシにとって大切な道しるべとなってくれています。


釣り(趣味)を通じた人間関係というのは、仕事や金銭が絡んだ人間関係よりもはるかにややこしいです。


何故かというと、釣りでの人間関係というのは本来であれば基本的に利害が関係しません。


人として好きか?

その人の釣りが、釣りに対する考えが好きか?

釣りに対する姿勢が同じアングルを向いているか?


そういったモロに人としての魅力が評価される付き合いだからです、だから本来はね。

もちろんアタシもまっだまだ未熟者で一生学ばないけません。


昔も今も釣りを通した人間関係での揉めた話はいくらでもあると思いますが、往々にして上記のようなことを意識されていない方が多いからだと思ってますね。


釣りなんて時間かけたらある程度は釣れるようになる。それよりも大切なことを釣りを通して学ぶ方が大切。ということを教えてくれたお店とそこに関係した人たち。


アタシにとってはとても大切な思い出です。


こんな昔話を書いたのも理由があり「今、地元の釣具屋さんに通われてる方って、そのお店との関係ってどういったものになってるんだろ?」と疑問に思ったからです。


ただ釣具を買うだけなら、実店舗とネットの差は些細なことだと思っています。


となると、実店舗の存在意義、そしてそれを利用する消費者の意識って…と。


現在アタシが通わせてもらってるお店はありません。

いはら小松島店でいつも変わった品ばかり引いてもらってるから、顔を覚えてもらってる店員さんがいるくらいです。


WESTのような濃い人間関係になれそうなお店はもうないために、フツーの客としてお邪魔するお店ばかりで、それでいいと思ってますが、昔はそうじゃない今で言えばけっこう無茶苦茶だけどオチャメなお店もありましたよという昔話。


釣りってただ釣るだけではなく、釣りを通してもっと様々なモノを知ることができると思ってます。


本当の意味での「アングラー」にもっと出会いたいなぁと思う日頃です。